ファンモーターの劣化、給湯器「ブオーン」音のメカニズム
給湯器から発生する「ブオーン」という不快なうなり音の犯人は、多くの場合、内部に搭載された「ファンモーター」の経年劣化にあります。このファンモーターがなぜ異音を発するのか、そのメカニズムを理解することは、トラブルの深刻度を把握する上で役立ちます。給湯器のファンモーターは、安全な燃焼に不可欠な空気を送り込み、排気ガスを排出するという、人間で言えば「呼吸」に相当する重要な役割を担っています。このモーターは、一日に何度も回転と停止を繰り返し、年間を通じて過酷な環境下で稼働し続けています。その中心部には、モーターの回転軸を滑らかに支えるための「ベアリング(軸受け)」という部品が組み込まれています。新品の状態では、このベアリング内部には潤滑油(グリス)が充填されており、金属同士の摩擦を減らして静かでスムーズな回転を実現しています。しかし、給湯器の使用年数が7年、8年と経過するにつれて、この潤滑油は徐々に劣化・消耗し、乾いていきます。また、ベアリング自体も、絶え間ない回転によって少しずつ摩耗していきます。潤滑を失い、摩耗したベアリングは、モーターが回転する際に正常な回転バランスを保てなくなり、振動を始めます。この振動が、給湯器の金属製の筐体(ケース)に伝わって共鳴・増幅されることで、私たちの耳には「ブオーン」「グォーン」という低く響くうなり音として聞こえるのです。特に、モーターが冷えている状態から動き出す始動時には、部品の動きがより渋くなっているため、大きな音が出やすくなります。この状態を放置すると、やがてベアリングが焼き付いてモーターが完全にロックされ、給湯器はエラーを表示して停止してしまいます。