節水トイレで水がたまりにくい理由とは
環境への配慮や水道代の節約意識の高まりから、最近のトイレは「節水」が当たり前の機能となっています。十数年前に比べて、一度に流す水の量が半分以下になっているモデルも珍しくありません。しかし、古いタイプのトイレから最新の節水トイレにリフォームした際に、「なんだか便器にたまる水の量が少ない気がする」「以前より詰まりやすくなった」と感じるケースがあります。これは、節水トイレが持つ特有の仕組みと、家の配管状況とのミスマッチが原因で起こることがあります。まず、節水トイレは、少ない水を最大限に活用するため、水の流れ方や勢いが緻密に計算されています。渦を巻くような水流で、効率よく汚物を洗い流す設計になっているため、そもそも便器内に多くの水をためておく必要がないのです。そのため、以前のトイレに比べて封水(便器にたまる水)の見た目の量が少なく感じるのは、ある意味で正常な状態と言えます。しかし、問題となるのは、この少ない水量が、家の排水管の状況に適していない場合です。特に、築年数の古い家では、排水管の勾配が緩やかであったり、配管が長かったりすることがあります。かつては豊富な水量で汚物を一気に下水まで押し流せていたのが、節水トイレの少ない水量では、途中で勢いがなくなり、汚物が配管の途中で止まってしまいやすくなるのです。この小さな詰まりが繰り返されることで、排水管全体の流れが悪くなり、結果として便器の封水が排水管側に引っ張られて減ってしまう、という現象が起こり得ます。また、節水トイレは、タンクに水がたまるスピードも速く設計されているため、たまりきる前に次の人が使おうとして、水量が不十分なまま流してしまう、といった使い方の問題も関係しているかもしれません。